FM-8(FUJITSU MICRO 8)のお部屋


西村 健 さんの FM-8 への思い入れ(投稿ありがとうございましたm(__)m)

富士通がそれまでの沈黙を破り、満を持して発表した高性能マシンです。

デュアル CPU 搭載,64KByteの大容量メモリ,640x200 8色フルドットカラー,漢字 ROM 搭載可能,バブルメモリ搭載可能…はっきり言って、それまでの他社のマイコンのスペックなど、ふっ飛んでしまうインパクトでした。それだけの高性能で、値段は21万8000円という破格の安値ですから、飛びついた人は多かったのではないでしょうか。

ですが、最初のロットはひどかったです。スピードは遅いし、初期不良は多いし、基板にはジャンパー線は飛びまくりで。初期不良で修理に出すたびに、基板交換がされてくるしまつです。そのつど、ジャンパー線の数が減って行って、動作速度が速くなって行ったというのが笑えました。

ところで、最初の頃、メイン CPU から直接ビデオメモリにアクセスできないという事実に気づいて、愕然としたユーザーは多かったと思います。なにせ、リアルタイムゲームを作れないということですから。

あとになって雑誌「I/O」に、「"YAMAUCHI"の秘密」とかのタイトルで、SUB-CPU 側にプログラムを送り込んで動かすと言うやり方が公開されました。これで、何とかリアルタイムゲームも作れないことはない、と判ってユーザも胸をなでおろしたことでしょう。"YAMAUCHI"が何かと言えば、SUB-CPU にアクセスするための隠しコマンドのキーワードでした。プログラマーの名前だったそうです。

もっとも、SUB-CPU 側で自由に使えるメモリ空間は狭いし、リアルタイムキースキャンができないという欠点は、FM-77 になるまで解決できなかったので、本質的にリアルタイムゲームは作りにくいマシンでした。このへん、大型機ばっかりやっていた富士通は、ゲーム向きの設計と言うのが理解できてなかったんでしょうね。

リアルタイムキースキャンができないのは、FM-8, FM-7 の共通の欠点で、アクションゲームを作る上での大問題でした。どういう問題かと言うと、要するに、最後に押されたキーが放された事がプログラムで判断できないのです。二つのキーが同時に押されているのを判断する事もできませんでした。

FM-8,7 では、キーボードデータの読み取りは、専用の 4 bit CPU が割り当てられていて、そいつが独立してキーを読み取ってくれる設計でした。キーボードに CPU を一個使ってしまうのは、贅沢な作りと言えるのですが、おかげでプログラム側でキーボードを単なるスイッチの集まりとして扱う事ができなかったのです。贅沢だからいつも良いとは限らないということですね。

FM-8 に関しては、まがりなりにもジョイスティックポートが標準装備でしたから、ゲームのコントロールはそれを使うのだ、と言い訳ができたかも知れないのですが、FM-7 ではそのポートは削除されたのですから、BIOS レベルで何とかしておくべきでしたね。

おかげで、FM-8,7 のアクションゲームは、別のキーを押し直さないと、同じ方向に動き続けると言う、情けない物ばかりになってしまいました。BREAK キーだけは割り込みが発生するので、発射キーとして使われていました。この割り込みのおかげで BREAK キーが唯一、他のキーと同時に押された事が判断できるキーだったのです。

FM-8 での大きな特徴の一つは、何といってもバブルメモリでしょう。最新鋭の記憶デバイスでしたから。扱いが簡単で、記憶の保存に電源がいらず、将来的に大容量が見込める、と言う三拍子揃った夢の固体記憶装置という位置付けでした。FM-8 には当時としてはまあまあの 32KByte と言う容量の物が、2個搭載できるようになっていました。将来的には、64KByte, 128KByte と増えて行く予定だったのです。(*1)

しかし、富士通としては予想外にそれは難しい技術だったらしく、不良品が続出していました。値段も下がらなかったし、容量も増えないということで、結局、大部分のユーザーは、バブルメモリを使っていませんでした。搭載されるはずの部分は、蓋つきの金属の箱のような作りだったので、大抵のユーザーはその部分は、シャーペン入れとして活用していたと思います。酷い人は、灰皿がわりに使っていました。あげくに FM-7 では仕様から削除されてしまったのでした。


(*1) 以下 users-voice さんからの情報です。
「128KByte」のバブルカセットは、実在します。 32KByteの型番 FBM43CP に対し 128KByteは型番 FBMC128GP となっています。 32KByteの方は35000円ですが、私が持っているものは、「作られた本人」から頂いたものなので値段は不明です。恐らく当時は150000円程度と推測します。 証拠の写真を添付致します。



FM-8(FUJITSU MICRO 8)マシンスペック

名称 FUJITSU MICRO 8 略称:FM-8
発売日 1981年7月?日
定価 218000円
CPU メイン部 MBL68A09
サブ部 MBL6809
メモリ ROM 44KB(BASIC、ブートローダ、サブモニタ)
RAM 117KB(メインメモリは64KB)
ブートローダ機能 ブートROMプログラム(480B)を、システム媒体に応じてスイッチ切替可能
 1.F-BASIC(ROM/Diskモード)
 2.DOS(ミニフロッピィディスク)
 3.バブルメモリ
 4.DOS(標準フロッピィディスク)
CRT表示機能 テキスト表示 ANK文字 80字×25行/80字×20行/40字×25行/40字×20行
      (いずれかをソフトにて選択可能)
家庭用カラーテレビアダプタを使用時は、40字×20行が最適
グラフィック表示 モノクロ 640×200ドット 1画面
カラー  640×200ドット 1画面(1ドットごとに8色のカラー指定が可能)
文字構成 8×8ドットマトリクスによる文字パターン
英数字、特殊記号 69種
カタカナ、句読点 63種
グラフィックパターン 62種
カラー表示 8色(青、赤、緑、マゼンタ、シアン、黄、白、黒)
日本語表示
(要キャラクタセット
テキスト表示 最大、40字×12行
文字構成 16×16ドットマトリクスによる文字パターン
  漢字 2,965種(JIS第1水準)
  非漢字 453種(JIS非漢字)
キーボード キー配列 JIS標準配列に準拠し、PFキー、エディットキーなど追加
キー総数95個
キー読取り 4ビットワンチップマイコン(M8841)によるソフトウェアスキャン方式
機能 リピート機能有り(解除も可能)
オーディオカセットインタフェース 専用ケーブル添付、転送速度1,600BPS。リモートコントロール機能有り
プリンタインタフェース 8ビットパラレル(TTLレベル)セントロニクス仕様準拠
回線インタフェース EIA RS-232C準拠
転送速度 300、600、1200、2400、4800、9600BPS(スイッチ切換)
ミニフロッピィディスクインタフェース 拡張バスを使用し、アダプタ(MB22603)経由で接続。または、システム拡張ユニット(MB26001)経由で接続可能
薄型ミニフロッピィディスクユニット(MB27607)が使用可能(320KB/1ドライブ)
システム拡張 システム拡張ユニット(MB26001)経由でつぎのモジュールが使用可能
 標準フロッピィディスク・ハードディスク・計測制御・1Mビットバブルホルダ・音声入出力・RS232Cインタフェース
CRTインタフェース カラーCRT R.G.B/同期信号分離出力(TTLレベル)
グリーンCRT コンポジットビデオ信号出力
家庭用テレビ カラーCRT信号をTVアダプタ(RFモジュール)経由で接続
ブザー機能 ソフトウェアによるON/OFF
電源 AC 100V 50/60Hz 50VA
使用条件 温度 0〜35℃ 湿度 20〜80%
外形寸法/重量 490(W)×330(D)×110(H)mm/約6kg


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